第二幕 「夢見る頃を過ぎても」
スキー選手に憧れたガキの頃
その夢を引きずったまま、すでに四半世紀。大勢の選手の中で、自分がたどり着ける高みはいったいどれくらいだろうって、それを確かめるまではスキーを続けようと決めていたけれど、最近になって自分にとっての頂上がこの程度なんだと、自分自身を納得させることができつつあったり・・・・
もちろん、いくら夢を見たからって必ずしも適うとは限らないのは百も承知の上で、それでも投げ出さずに追い求めてきたことは自分の中での誇りではあるけれど。
本当は誉めてもらいたかった
ヨーロッパまで何度かトレーニングに出かけたし、たいした意味もないままにB級レースにも出続けたものの、多くの選手がそうであったように、結局は自分もその他大勢のまま静かにフェードアウトしていく年代に差しかかってきたのかなと。
確かに、スキーは自分のためにしてきたことではあるけど、そうやって生きてきた姿を誰かに誉めてもらいたくて続けていたような気もする。自分自身を納得させるためにも、いままでスキーに費やした時間や金は決して無駄じゃなかったよって言葉がほしかったんじゃないかと。
雪の季節の後に来るもの
長い間、自分にとってのスキーとは速くなること、強くなること、それがすべてであったけれど、3.11以降、この歳になってもまだ動く体に生んでくれた両親、決して大成しないまでも、ここまで育ててくれたコーチ、それにいまだスキーができる環境にある自分の運に感謝しつつ、板を履く習慣がついたように思う。
「第二幕」とは、この国では当たり前にスキーができた時代が終わり、この先もスキーを続けるとき、それができる幸せを感じるようにと自らに言い聞かせるために副題として使った言葉である。
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